打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか? 映画感想

※ネタばれがあります!


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岩井俊二ファンとして、アニメ化は大変喜ばしいことでもあり、かつ不安でもありました。
ヒットしてほしいという願いと、原作越えしたらどうしようという複雑な思いを抱きつつ、試写会に足を運んだのでした。

あらすじ:
花火を横から見たら平べったいのか丸いのか言い争う主人公たち。
その日の花火大会で確かめに行くことに。


原作は20年以上前のものですが、予告編を見た限り『君の名は。』みたいというコメントがちらほら。
そもそも実写をアニメ化というのが珍しいですし、そもそも岩井俊二のあの雰囲気をアニメで表現できるのか、と。
プロデューサーの川村元気氏曰く第二の『君の名は。』を意識しているような感じがするので(そもそも『君の名は。』のプロデューサーも川村元気氏)、原作のドラマとは別物といった感じでした。それでも端々で比較したくなってしまう。


脚本は『モテキ』や『バクマン。』の大根仁
90分とはいえ若干の中だるみを感じてしまったので、内容はそんなに膨らませなくても良かったんじゃ、と思いました。


アニメの表現にあまり慣れていないので、そこは自分が合わせていくべきかと思いながらも、水面や花火の宝石のような表現に見とれたのでした。

やけに顔と目のアップがあったのですが、シャフトというか新房監督特有のものなんでしょうか。
最近のアニメは蒙古ひだまで描くんですね。

顔のアップなどハッとするようなカットが多かった割に、主人公やヒロインの表情に引き込まれることはあまりなかった…。あれどういう意味があるんでしょう。
そこまで説明的ではないから意図があるのかないのかわかんない部分があって、原作ではそれがアンニュイだったんですけど、アニメの場合は登場人物が人形のように見えて、なんだかわかりにくかったです……。
あまりにも顔のアップがあるもんだから、途中から「結局これなんの意味もないんだろうなあ」と半ば悟る事態に……。


岩井俊二版の『打ち上げ花火~』は奥菜恵の奇跡のような可愛さで成り立ってるみたいな言われ方をしていたので、あの可愛さをどう表現するか?というのにも注目をしていました。
広瀬すず演じるなずなの、思春期特有の感じは良かったです。


個人的によかったところ

  • 映像の綺麗さ。

景色、プール、もしも玉、そして何と言っても花火。
大根仁の書いた小説版も読んだのですが、「グロテスクな花火」の登場にわくわくしたものの結局出てこず、たぶんこれがグロい花火に相当するやつなんだろうなあと思ったのが、ずいぶんかわいらしくまとまった花火だったのでした。スイカバーは出てこなかった。

  • 音楽。

劇中挿入歌の「瑠璃色の地球」がとーーっても素敵でした。
もう広瀬すずがこの曲を歌っただけでなずなの可憐さと少女性が確立されたような気がします。
広瀬すずの声がとてもかわいいです。
透明感と、艶、でも少しの不安定感が揺れ動く思春期特有と言う感じで彼女が歌った瞬間にすっと引き込まれました。(でも最初は一瞬戸惑った)
曲単体で聴いたときと、映画の挿入歌、つまりなずなの歌として聴いたら印象が全然違うのではないかと思います。
瑠璃色の地球」は松田聖子の曲らしいんですけど、前奏のピアノ部分が岩井俊二の作るピアノ曲っぽいんですよね!!!『四月物語』や『花とアリス』の音楽に出てきそうな。
映画観終わってからずっとこの曲リピートしてます。
広瀬すずの歌を聞くためだけに観にいくのもいいと思います。

DAOKOの「Forever Friends」も最高でした。
この曲が使われてほんとうに良かった……。
あと米津玄師との「打ち上げ花火」もすごく良い曲です。

  • トンボがなずなの肌にとまるシーン

原作ではアリだったのが、トンボに。
やけにドキドキするシーンなんですけど、取る前に飛んで行っちゃうんですよね。
飛んで行ってしまって後悔したのか、ほっとしたのか。

  • 浴衣を脱ぐシーン

逃避行中に着替えで浴衣を脱ぐシーンがあるんですが、服の柄がするする動いていてアニメ凄い!となるシーンでした。




電車が二両しかないような田舎町の学校がやけに最先端で若干の違和感がありました。
学校内のらせん状の階段は、灯台の内部と同じですね。
なずなの制服もフリフリで、アニメだー、と思いました。
なずなの背丈がノリミチよりも大きいのが原作と同じで少しうれしい部分でもあったのですが、アニメでヒロインの方が大きいってなんだか珍しいような気がします。
でも中学生くらいって女の子の方が大きいし、ませてたり、大人びてるのを表現してるのかなあとも思ったりもしました。水商売しようとしてるくらいですからね。本気かどうかはおいといて。


友人のひとりが「観月ありさ大好きだー!」と言ったセリフから、20年経っても変わらない観月ありさすごいなあと思いました。今だったら熟女好きなのかな?となるんですかね。
家でやってたゲームもドット絵でなんら違和感はないし。(ゲーム画面は何か元ネタがあったりするんですかね)


なずなの最後のセリフが、「二学期また会えたらいいね」みたいなのだったのが、「次に会えるの、どんな世界かな」というのになっていました……。


最後のもしも玉が割れて花火に混じって光るシーンは綺麗で、こういう展開もあったかもしれないのかー、と少しだけ感動しました。


最後のカットはいろんな解釈が出来そうです……。



結局この映画から何かを感じ取ったり、大きく心が変わることなく終わって残念でした。
私の感受性が乏しいからかもしれないですが、楽しみにしていた分、やはり無念。
個人的に思うのは、大根仁の脚本が微妙なのでは?と。



結論:アニメが岩井俊二版原作を超えるかもしれないという不安は杞憂でした。