ロンドン・スパイ BBCドラマ感想(ネタバレ多少あり)

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全5話から成るBBC制作のドラマ。あらすじが面白そうだったのと、舞台がロンドンだったので視聴。陰謀に立ち向かっていくお話。

 

孤独な銀行家が失踪し、残された恋人に衝撃の事実が突きつけられる。なんと、彼はスパイ活動に携わっていた。事件の真相は、危険と陰謀がうず巻く世界の中にある。(Netflixあらすじ)

 

あらすじを見る限り、スパイドラマと思って視聴したのだが思いの外ラブストーリーとしての側面が大きい。しかも渦中の二人、ダニー(ベン・ウィショー)とアレックス(エドワード・ホルクロフト)は同性カップルである。ダニーの友人で世話をしているスコッティも同性愛者であり、主要男性は全員ゲイで構成されている。その他に登場するダニーの父親やアレックスの父親は主な発言をしない。その代わり、父親の声を代弁するかのように母親が子への愛を示す。陰謀を解いていくうちに明るみになる真相は想像するより遥かに大きいもので、真相のために立ち向かうダニーが愛おしく、このドラマはスパイ物語ではなく愛の物語なのである、ということに気付かされる。

 

恋人だと思っていたアレックスの正体が自分の知っているものではなく、本名も職業も家族構成も聞いていたものとまるで違う。偶然にして出会った彼との交際はわずか8カ月だったが、孤独を分かち合う者として二人の愛はずっと深いものだったのだ。作中でダニーもアレックスも互いのことを恋人だとかBoy Friendという言い方をしていない。ずっと"一番の親友"や"ソウルメイト"という言い方をしている。

 

レックスの死の真相を追い求めれば追い求めるほど敵の存在はただ大きいものとして認識させられる。新聞記者も医者も謎の勢力に丸め込まれ、重要データも外に持ち込めず、気付けば周りみんな敵。そしていつの間にか世界中の機関を敵に回していることを教えられる。そこには絶望が待っているのだが、真相という希望を求めて奔走するダニー。ダニーの両親や秘密クラブ、自身の両親まで巻き込まれても尚、前を進む。最後に全ての真相を知ったダニーは敵にひるむことなく、希望と力強さに満ちている。

 

スパイものとして伏線も最後に回収され、原因となったアレックスのある発明が彼自身の首を締めることとなったのは何とも悲しい出来事である。生き残る唯一の線も、彼の愛によって阻害されてしまったのは何とも皮肉なことだ。ただ、愛の物語としてとても美しいものを見せてくれたドラマだった。