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キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン (2002) 映画感想

映画

キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン [DVD]

 

監督:スティーヴン・スピルバーグ

音楽:ジョン・ウィリアムズ

出演:レオナルド・ディカプリオトム・ハンクスエイミー・アダムス

 

レオナルド・ディカプリオ主演のスピルバーグ監督映画。オープニングからスタイリッシュでとにかくカッコいいの一言に尽きる。よく見ると映画の総括になっていて、2回目以降もわくわくできるポイント。音楽が巨匠のジョン・ウィリアムズなのでそれだけで期待値が上がる。大好きな若かりしエイミー・アダムスもいたり、洋画のオールタムベスト10に間違いなく入る一作。大好き。

 

先の読めない展開と想像の斜め上をいく展開が続くので静かなところも熱いところもハラハラドキドキできる。そのハラハラドキドキも嫌なものではなく、どうなるんだろう、という子どもの抱く好奇心に近い。昔「スラムダンク」や「ハンター・ハンター」を読んでいたときに全ページ面白い!となった感覚に似ている。

 

ディカプリオが演じるのはフランク・W・アバグネイルJrという実在する人物である。そしてこの映画自体、実話を基にしている。海外で収監されて帰国するところから物語が始まるのだが、この映画は犯罪者の話ではない、と個人的に思っている。主人公は裕福な家で育った家族が大好きな男の子だ。父と母も仲が良く、二人が仲良くしているのを見て育ってきたある意味では純粋な子供だった。しかしそれも父親の事業が失敗してお金に苦労することとなる。彼が詐欺師の才能の芽を出したのは父親のある行動を見てのことだった。金持ちに見えるように服を調達するために、開店前の服屋へ行き金目の物(アクセサリー)をちらつかせて無理やり開けるようにしむける。父のそんな姿をみて、彼の才能が徐々に花を咲かせる。以下ネタバレあり。

 

両親が家のカーペットにワインをこぼしたのが彼の人生そのものとなっているように思う。シミを拭うのはフランクの役目だが、両親はのんきに踊る。そうしているうちにシミは広がっていく。両親の尻拭いをしている間に両親は彼からどんどん離れていく。しかし両親が優雅に踊るダンスは彼にとって幸せの象徴で、彼の求める家族像である。

 

逃亡する間に見たパイロットがタクシーから降りて美人のスチュワーデスに取り込まれているシーン、フランクがはっとするシーンでもあるのだが、彼の心の高まりに共感するシーンでもある。彼はいとも簡単にパイロットの制服を入手し、扮装する。FBI(カール)に追われる運命となってもFBIは彼の痕跡目前まで来ては逃げられる。そのカールとフランクの関係が、ただの警察と犯罪者というものではなく、ルパンと銭型警部のようなどこか信頼関係のあるものになっていく。しかしフランクも子供なので、自分から電話をかけてしまう始末である。そうして少しずつ足がついていく。この映画の好きなところは絶体絶命のピンチに陥ったときに一枚上手な返しをしていくところだ。空港にいるはずのフランクを捕まえるために集まったFBIたちは彼を逮捕するどころか素通りしてしまう。それもパイロットとしてスチュワーデスに囲まれて一番目立つ立場にいるのにだ。憧れのシチュエーションをしながらFBIを鮮やかに欺いている。ここが最高にかっこいい。

 

主人公は何人かの女性を落とすことになるのだが、彼の落とす女性がことごとく母親に似ているタイプだと思った。美人だけれども、頭の弱そうなバカっぽい女。騙すには好都合。しかし途中で出てきたセクシーなセブンティーンのモデルは主人公の好きなタイプではないのであまり積極的ではない。そもそも彼女を落とすつもりもなければ女を買う相場もわかっていない子供というのがよくわかるシーン。後の妻となるブレンダ(エイミー・アダムス)も母親に似ている。母親を唯一嫌っている(心配している)部分が喫煙というところだったので、ブレンダは看護師ということもあり、そういう心配もなさそうだ。ブレンダの家族も取り入れ、クリスマスで合唱しているシーンなんて幸せの塊のようだ。しかし彼の望む家族は新しい家族だけではなく、彼自身の両親のことだ。逃亡したきっかけもそれまでのモチベーションも、両親を復縁させるためだった。父親とは連絡を取り続け、いつか復縁すると信じていた。父親が死んでしまったことを知っても逃亡し、母親に会いに行って新しい家庭を持っていることに彼は絶望する。弱冠20歳にして数々の人生を歩んできたにも関わらず、おそらく人生で初めての挫折と絶望を味わった瞬間。

 

この映画は捕まって終わりではない。FBIに才能を買われて小切手偽造防止の専門につくこととなる。しかし彼は再び逃亡してしまう。だが彼を追うものはもういない。そこで彼は逃走しても自らFBIに戻ることとなる。おそらく彼は刑期を終えても再犯したと思うのだが、ここで彼が初めて一つ大人になった瞬間だったのだろうと思う。フランクとカールは捕まる前も捕まってからもいいコンビだ。

 

彼の作った小切手は現在でも使われているらしいので今でもかなりのお金を稼いでいる。そして子供3人と暮らしているらしい。どのような暮らしをしているのかはわからないが、彼は結局家庭に修まったのだ。

 

彼が弁護士に扮した際、司法試験に合格した方法がわかっていないらしいがこの映画を観る限り、彼の実力で受かったのではないかと思う。難しい試験なのは承知だが、頭の回転が並大抵ではなく、地頭がいいのがわかる。細工をしていた可能性もあるが、実力で受かっていたら超かっこいい。