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残響のテロル (2014) アニメ感想

太陽の笑顔と氷の瞳

 

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監督:渡辺信一郎

音楽:菅野よう子

 

2014年にフジテレビのノイタミナ枠で放送されていたアニメ。「男子高校生のテロリストがなぜか東京の至る所を爆破予告する」という動機が気になる内容だったので1話から引き込まれた。1話のビルの爆破も凄いがアニメとしての爆発力もすさまじい。作画は背景まで丁寧に描き込まれている上、男子高生達の行動が派手なので劇場アニメかと見間違えるほどだ。

 

そして何より音楽が良かった。菅野よう子がOPやEDだけでなく様々な曲を作曲していて、音楽が少し重要になるような演出がされている。本来その音楽はアニメの本筋とはあまり関係ないのだが、こういう音楽があるおかげでアニメや登場人物に奥行きが生まれる。というのも劇中、主人公の一人であるナインが「さむい国の音楽」を聴くシーンがあるのだが最後にその音楽がアイスランドのものだと判明する。そして「von」というたびたび登場する言葉がアイスランドの言葉で「希望」という意味があることもわかる。実際にシガーロスというアイスランドのバンドが「von」という曲を過去に発表しており、ナインが聴いていたのはシガーロスなのではないだろうかと思う。最後にナインの音楽のことがわかるあたりにナインから人間味を感じる。冷徹に思われがちだが、常に熱い想いを抱いていた人間くさいやつなのだ。

 

残響のテロル」のテロルとはテロのことだ。ナインとツエルブという高校生が警察になぞなぞを出しながら爆破予告していくのだがそのテロの目的が最後までわからない。爆破という緊迫感の中なぞなぞで警察を小バカにしている様子が続き、しばらく警察の無能さが目に付く。警察と言っても柴崎刑事がナインたちのなぞなぞを解き信頼関係が出来ていくのだが、そこに新たな組織が介入してくるのでテロリストVS日本警察VS米国機関という三角対立が成立する。この米国機関のハイヴというのがナインやツエルブたちと同じ施設出身で頭の切れる人物なのだがどうも空回りしている印象を受ける。アルビノという設定があるのか、白い肌に白い髪という特徴的な見た目をしている。施設の唯一の生き残りなのでナインたちに異常な執着を見せ、施設内の実験の後遺症やら薬の副作用やらで体調が悪化し事実上ヤンデレと化していく。

 

しかしこの物語のヒロインはハイヴではなくリサである。中盤まではヒロインがただただ邪魔だとも思ったが結構重要な役割を果たしている。リサがこのアニメの中では一番”普通”の感覚を持っている。ナインとツエルブの過去は施設のことしかわからないが彼らの普通はリサからしたら”異常”である。だからそんなリサという普通の女の子を前にして、ツエルブは人間らしい感情が芽生えたのではないだろうか。その二人は恋愛関係とまではいかないが、普通の人間としての友情がかれている。ツエルブはそのような感情を持ち、最後は3人で普通の高校生らしくサッカーをして遊んでいる。何より柴崎やリサとの間には信頼関係が築いてあった。それまでナインとツエルブは二人だけで生きてきてそれからもそのように生きていくと思っていたのに、テロによって無関係の二人がナインとツエルブの間に介入してきたのは何だか皮肉のようだ。

 

彼らのテロは血の流れないテロだった。最近のアニメに詳しくないので主人公がテロリストというのは何だか珍しい。彼らを優しいテロリストと表現するのは語弊があるかもしれないが、こういう物語の結末が全員救われるハッピーエンドというのはないだろうと思っていたので仕方がない終わり方だと思う。だがそれにしても伏線もまとまっていて主人公たちの野望は果たされ、生き残った人たちで死を悼むという個人的に好きな終わり方だった。