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シリウスの伝説 (1981) 映画感想

シリウスの伝説

シリウスの伝説 [DVD]

 

監督:波多正美

原作・企画・製作:辻信太朗

音楽:すぎやまこういち

主題歌:サーカス

声優:古谷徹小山茉美、榊原郁恵、他

 

 

1981年に作られたサンリオの長編アニメ映画。サンリオ映画というとすぐさまハローキティの顔が浮かぶがそのような雰囲気は全くなく、完成度が高いことにまず驚いた。ナウシカが誕生する前にこんな映画があったというのが驚きである。しかもこの映画の原作がサンリオの社長の辻信太朗なのでそこもまた驚きである。

 

ストーリーは日本版のロミオとジュリエットのような雰囲気がある。音楽を担当しているのはすぎやまこういちである。ドラクエの作曲家として有名でこの映画もNHK交響楽団が演奏しており全編にわたって音楽は華やかで主題歌も綺麗で美しい。主題歌が劇中に何度も挿入歌として流れるので耳に残る。エンディングの作画が幻想的でめちゃくちゃ美しいので個人的にエンディングだけでも観る価値がある。

 

作りはなんとなくディズニーを意識しているのかと感じた。主人公のシリウスが海を自在に泳いだり刀を構える姿はディズニー映画の「ピーターパン」を彷彿させる。海の世界観は「リトル・マーメイド」を意識しているのかと思ったが意外にも「シリウスの伝説」の方が先だった。この海の世界が細かく作りこまれている。小さい魚が一斉に顔を出したり小悪党の魚類は憎らしいが愛らしい。この海の中があまり青々としておらず、ほのかに暗い。他には覚醒後のマルタの顔が白雪姫そっくりになる。ストーリーは「愛」をテーマに進んでいくが最後だけは日本映画らしく終わる。ロミオとジュリエットのような悲劇エンドで余韻が残る。

 

主人公は水の子”シリウス”と火の子”マルタ”という妖精のような出で立ちをしている。先入観では火=男、水=女のようなイメージがあるがここでは逆である。しかも水の子シリウスの見た目は赤くて火の子マルタの髪と羽は水色のような色なのでややこしい。それも二人は従姉弟同士だからなのかもしれないが、二人は違う種族にも関わらず恋に落ちてしまう。いわゆる禁断の恋でそれが二人をよりいっそう燃やすのだ。二人はそれぞれ次期水の王と火の王妃になる身なのだが愛を知ってしまったがために自分の領域の統治をすっかりサボり、愛にうつつを抜かしてしまう。この二人の愛のやりとりが盲目的で周りから見ると滑稽にも思えてしまうし二人のために命を落とすものまで出てくる始末である。ピアレという火の精がいるのだが同性愛に近い感情をマルタに抱き、彼女の許されざる愛を最初は咎めていたのだが来るとこまで来てしまったマルタを救うために自己犠牲となって命を捧げることとなる。ピアレを可愛がっていたマルタはそのことを知り胸を痛めるが、それでもなお愛に生きる決意をする。マルタがとにかく魔性な女性でシリウスを振り回していく。

 

メビウス”という火の種族も水の種族も関係なく住める惑星を目指すのが彼らの最終目標となるのだが今考えるとそのメビウスというのは単純にお星さまになる=死という概念のお話だったのだろうか。シリウスという名前自体が星の名前である。彼らの死が伝説となりシリウスという星の話にもなった、というのでこの映画は終わるのだが「信じる」ことが何より大切という教訓となっている。子供に「愛」という夢を見させるのはいいのかもしれないがその「愛」の行きつく果てが「死」というのは子供ながらなかなかトラウマになったんじゃないかと思う。しかもマルタが全裸のような格好で覚醒後はさらにエロくなるので今どきの子供向けのアニメと比べると随分表現が大人びている。