スラムドッグ$ミリオネア (2009) 映画感想

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監督:ダニー・ボイル

音楽:A.R.ラフマーン

制作国:イギリス

 

てっきりインド映画かと思っていたのだが制作国はイギリスである。イギリスのインド映画というわけでインドを内側からではなく外側から見た映画となっている。それにしてもインドのスラムの実情は生々しく描かれている。スラム事情はあくまでもテレビの生半可な知識しかないのでこの映画がどれほど精工に描かれているのかはわからない。TBSの「クレイジージャニー」というテレビ番組ではよくスラム特集を組んでおりOP曲がこの映画でも使われていた。あの番組はちょっと本当にクレイジーなので目が肥えてしまったのかもしれない。テレビで見た本物のスラムと比べると映画のスラムはまだ綺麗に感じる。それどころか川で洗濯をしているシーンは美しくも感じる。

 

スラムドッグ・ミリオネアは日本でも一時期放送されていた「クイズ・ミリオネア」のインド版である。だが日本版もインド版もイギリスから輸入された番組なので形式から効果音まで同一である。違うのは司会者の顔芸くらいだ。だがインド版の司会者もみのもんたに引きを取らず嫌な奴である。番組を私物化している司会者は連続で正解する主人公ジャマールに対して不正を疑う。ジャマールはスラムからお茶くみに成り上がったのだが社会的にはまだまだ下の方の立場であり終始お茶くみであることをバカにされる。なぜそんな学のない彼が1000万ルピーを獲得することになったのか、というのが視聴者にも投げかけられる。不正か、運か、天才か、はたまた運命か。それをクイズを通して彼の人生を振り返っていく。最初に視聴者に投げかけられるのもそうだが物語の演出や構成が巧みである。

 

結果的に言うと問題がたまたま人生の大事な場面で起こった出来事に関することだったので考えるまでもなく彼は答えを知っていたのだった。ジャマールと彼の兄サリーテはイスラム教徒迫害により孤児となり、学校には通っておらず物乞いをして稼いでいた。彼には学がない。だが彼の人生がそのまま学びとなりクイズの正解に繋がる。厳しい環境に置かれてきた兄弟も、兄は足を踏み外し弟ジャマールは愛のためいつまでも純粋なままである。彼が純粋でいられたのはラティカという同じく孤児の女の子に恋して彼女に会うという希望があったからではないだろうか。彼が1000万ルピーを獲得したのは結局運でも不正でもなく運命だった。彼の人生がこの問題を選んだのだ。もちろんわからない問題もあったがその問題が学校と関連していたのも憎い。

 

スラムからのサクセスストーリーとしてはとても面白い話だった。金も女も手に入れてハッピーエンドで終わった。ハッピーエンドで終わるのだがエンディングがすべてを持っていった感がある。インド映画らしく全員踊ってクレジットが流れる。このエンディングの爽快感が半端なく、日本映画ではまず味わえない感覚だった。物語の構成だけでなく音楽も映像も美しかった。そしてインド国民がテレビにかじりついてジャマールを見守っていたのはカースト関係なく一丸となっておりとても良かった。